デザインテクノロジーの最前線 - 桐山孝司

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2005.10.14RSS/Atom配信の展開

先日、「SEOは半数が実施、RSSの活用はこれから」という企業Webサイト活用実態調査の結果を見た(日経BPコンサルティング05/08/26)。SEOはサーチエンジン最適化、RSSはウェブサイトの要約を配信するデータ形式である。サンプル数が125と少ないのでSEOは半数という数にはそれほど意味がないが、RSSの活用はこれからという方は実感に合う結果だろう。


SEOに関しては、検索エンジンが解析しやすいサイトを作るという目的がはっきりしており、結果も定量的に出るので理解されやすい。また一歩進んでGooleアドワーズやYahoo!ビジネスエクスプレスなどリスティング型の広告を使うことも、潜在的な顧客層に直接広告が届くという意味で、効果が理解されやすい手法である。

一方、これまでRSSは広告手段としては間接的な意味しかなかった。RSSリーダー(集めるという意味でRSSアグリゲーターとも呼ぶ)を使ってニュースやブログを見ている人が、関心あるサイトを登録する。一度登録するとRSSリーダーは定期的に新しいRSSをチェックして、更新された要約を画面に表示する。記事がよければそれだけ読者の注目度も高くなり、RSSの配信先も増える。そのようなサイトがアフィリエイトとして商品購入への入り口になると、企業も特定の興味を持つ潜在的顧客にアプローチできるという関わり方だ。

しかし最近はRSSがより直接的な広告手段として使われ始めている。たとえば新製品を紹介するサイトのRSSに広告を埋め込み、そのニュースをRSSでチェックしたときにオンラインショップへのリンクも表示するという使い方だ。もともとRSSでニュースを読んでいる人は特定の商品カテゴリーに興味を持っているので、そこへ向けてRSSリーダーを表示媒体とした広告が直接配信できるということになる。

ところでRSSはウェブの情報配信の代名詞のようになっているが、最近Atomという別のフォーマットと併用するサイトが増えてきた。RSSリーダーもすでに多くがAtomに対応している。RSSには歴史的経緯から0.91, 1.0, 2.0など複数の仕様が並立しており、一つの系統として進化してきたわけではない。これに対してまもなく公式に承認されるAtom 1.0は、これまでに出てきたRSSの経験と反省に基づいて、将来的な拡張も視野にいれた仕様になっている。

Atomの基本仕様だけでもRSSから多くの改良がされているが、利用者にとっての最大の利点は、一つの配信要素について複数のリンクを受け取ることができることだ。たとえば一つの文書について英語、日本語、中国語などの各言語バージョンへのリンクを使い分けたり、一つのブログ記事中の写真それぞれにコメントがついた要約を受け取ることができる。また音声データを配信するポッドキャスティング(ニュースレター9月号「ポッドキャスティング:モバイルと共有からの展開」参照)も現在RSS 2.0を使って配信されているが、RSSでは一つの番組には一つのオーディオファイル形式しか関連づけることができない。これに対してAtomでは複数のファイル形式へのリンクをまとめて一つの番組として配信することができるので、利用者がファイルでなく番組という観点で情報を見ることができる便利さがある。

さらにAtomは利用目的に応じた拡張ができるようになっており、今後新しい情報フィードの使い方が開ける可能性もある。たとえば記事に対してコメントをつけるフィードバックがサポートされると、Atomによって双方向のチャンネルができることになる。そのようなチャンネルでの利用者の挙動を追跡すれば、より細かくターゲットを絞って潜在的な消費者に広告を配信することができる。インターネットを使った広告において、ポッドキャスティングなども含めた今後のAtomによる配信の展開は大いに注目すべきものがあるといえる。