2006.09.29ブランドの失敗、企業の失敗
コスト・カットが 最優先項目とされるアメリカの企業では、方々で顧客満足度の低下を招いている。たとえばコンピュータのデル。毎年数多くの製品を出荷するのはいいが、電話によるユーザーからの問合せに追いつかず、1週間に3000人ものユーザーが30分以上待たされて不評を買っている。
あるいはノースウェスト航空は、数年前のデトロイトでの吹雪の際に、乗客を乗せたまま滑走路で8時間待機した事実が今でも人気を押し下げている。その他、DIYストアー大手のホーム・デポーもサービスの不備に加えて、CEOが巨額の報酬を受け取っていることが消費者のブーイングに会っている。
こうした企業へ消費者が抱く印象は業績の数字としては出てこないが、どこも売上げは失速気味。しかも、消費者にとっては、フットワークの軽いサウスウェスト航空やしゃれたロウズなど、さえない企業に替わる別の競合企業が間近にあり、ちょっとした間違いはすぐに企業自体にマイナスの反響となって跳ね返ってくるのである。
企業はこうした失敗を数々犯すものだが、最近は企業自身が失敗の歴史を分析しようとする動きが出ているのは興味深い。たとえばジェネラル・エレクトリック(GE)は、昨年から大規模の期待プロジェクトが失敗に終わった例についての話し合いを始めたという。この電話会議に参加するのは、そうしたプロジェクトを率いていた部長クラスの人材。失敗を思い出すのもつらい立場にある人々だが、ベスト・プラクティスを企業内で共有することで有名なGEとしては、失敗の分析からも何かを学ぼうとしているわけである。
ケロッグは時間のないアメリカ人のために、かつてミルクと一緒にパッケージされたシリアル製品を出したが、冷えていないミルクに魅力を感じない消費者の不人気によって、その製品から撤退した。では手軽な朝食は何か、と考えて出したシリアル・バーは、現在人気商品となっている。これも失敗を糧にした例だ。
ガラス・メーカーのコーニング社も、150年の同社の歴史を成功、失敗を共に組み込みながら記録しているという。それによって分かったのは、ひとつの失敗の中に別の成功の芽があったという事実。遺伝子研究が盛んだったころに乗り出したDNAチップ開発は失敗に終わったが、その過程で新薬発見という別の商機に巡り会った。さらに、新事業開発の早い段階から他企業との協力関係を築くことの重要性にも気づいたという。
あるいは、マクドナルド。ファストフードという悪いイメージから逃れられないのに加えて、最近はますます増えている子供の肥満は、まさにマクドナルドのようなところで食事をするからという一般的な批判が広まっている。常に攻撃の的になる同社は、断続的に自身のビジネスと製品を変化させていく必要性に迫られている。マクドナルドは、何よりも子供をここに連れてくる母親たちの罪悪感を軽くすることが急務と判断、ディズニーのキャラクターをアピールするのと同じくらいの努力を傾けて、現在はサラダやチキン、フルーツのメニューを増やし、多くの店舗で内装を改装した。
企業は、常に変化を強いられる。失敗と成功を同じように利用できるか、それが未来の勝敗を決めると言ってもいいだろう。




