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2007.09.03セカンドライフという新天地

最近話題になっているインターネット上のバーチャル三次元世界の「セカンドライフ」。 バーチャル世界で人々が出会ったり、学校に行ったり、買物をしたりしている。当初は、ひどく浮世離れした話で、 こんなものはオタクのお遊びに過ぎないと考えられていたが、ここ最近の人気で「これはひょっとすると本物かもしれない」 と思い始める人々が出てきた。

本物かもしれない、と思わせる理由のひとつはユーザー数。 セカンドライフの発表によると、現在900万人近い住民が存在していて、 過去1ヶ月でも100万人近い住人がアクティブに活動している。また、1か月間のユーザー間の取引が1200万リンデン・ドル (2007年7月の数字)以上をマークするほどに拡大した。リンデン・ドルとは、セカンドライフ内で用いられている通貨で、 最近の為替レートで交換すると4万6000米ドルほどになる。セカンドライフの住人は、服やアクセサリー、 家具といった小さなものから、土地や島といった大きなものまでリンデン・ドルで買い求めて、 このバーチャル世界の経済生活を営んでいるのである。

何よりもびっくりするのは、セカンドライフで商売を始めた女性が、 初めて現実世界で100万ドル(約1億2000万円)の儲けを得たという話である。 このユーザー女性はセカンドライフ内では不動産業。 ユーザーはアバターと呼ばれる分身をこのバーチャル世界で操っていて、 そのアバターの職業が不動産業というわけだが、ユーザー本人の職業はなんとウェブ・ デザイナー。ウェブ・ デザイナーとしての彼女が、セカンドライフ内の土地を買い、そこに住居やアパートをデザインして建設。 それを、 彼女のアバターである不動産業者が、新たにやって来たセカンドライフの住人たちに売る、という手順である。 これで1億円が儲かる?

実態のない絵を描くだけで大金が転がり込むとは、何とも不思議な話。 セカンドライフのCEO(最高経営責任者)のフィリップ・ローズデールに会う機会があったので、尋ねてみた。 彼によると、セカンドライフでは「絵が描ける人」がいい商売をしているのだそうである。バーチャル世界とは言え、 裸で過ごすわけにはいかないので、それなりに気に入った洋服を身に着け、素敵な家に住みたい、と誰でも思うであろう。 コンピュータのドローイング・ソフトを操る技術や絵心がないと、服や家をデザインすることは難しいので、 普通のアバターは外注したり、ブティックで買い求めたりすることになる。それでデザイナーらが儲かっているわけだ。

あるいは、セカンドライフ内ではいろいろな集会が開かれているらしい。 政治集会やNPOの集会、そして企業のイベントなど。 外国で開かれるイベントなど実際に出かけて行くのは不可能だが、セカンドライフ内では龍の乗物などに乗ってひとっ飛びできる。 逆に言えば、集客に苦労する僻地の企業でも、セカンドライフ内ならば都会の中心でイベントを開催することも可能だ。

ローズデールは、セカンドライフで人々がビジネスをする理由は、 「ものが安いから」と言っていた。土地を買っても数10ドル、服などは数ドル。敷居が低いので、 好奇心と野心のある人々がこの新天地でビジネスに賭けてみようとするわけだ。

セカンドライフは、 もうひとつの世界の文法を生み出したと言っても過言ではない。現実世界では通用しなかったこと、存在するように見えなかったことが、 ここではすんなりと成立する。セカンドライフに対する批判も大きいが、現実世界にクロスする異次元世界として、 そのなりゆきは楽しみでもある。