2007.11.01サービス・イノベーションの方法論とは?
「サービス・イノベーション」ということばが注目されている。
アメリカのビジネスは何であれイノベーションが好きだが、 これまで製造やテクノロジー、ビジネス・プロセスなどの領域で行われてきたイノベーションを、 サービスの分野に限って考えてみようという動きである。いくつかの企業が共に、このサービス・ イノベーションを考える協会や非営利組織までつくっている。
サービス・イノベーションを専門とする調査・コンサルタント会社、ピア・ インサイト社のレポートによると、サービス産業のイノベーションを考える際には、製造業とはまったく異なったアプローチが必要という。 製造業のイノベーションでは、「シックス・シグマ」のような効率化を図る思考があったが、いくつかの点で180度転換をしなくてはならない。
たとえば、シックス・シグマでは、 変動性や可変性を排除して安定した製造環境をつくることが目標とされたが、サービスではレファレンス(参照、多岐さ)としての変動性、 多様性が必要となる。あるいは、シックス・シグマは無駄をなくせと唱えたが、サービスでは何が無駄かを判断するのは顧客に任せよ、 となる。さらにシックス・シグマでは、コストはもちろん最小限に抑えよとなるが、サービスでは顧客の選択の幅を広げ、 その効果がコスト負担を上回るのならばコスト増には耐えよとなる。
こうした違いのすべては、 サービスにおいては顧客こそが参照点であるというところから出てくる。製造業ならば、競合企業が直接の参照点、 あるいはベンチマークとなったが、今やサービスにおいては顧客のポイントで何がどう判断されるかがキーだというわけだ。
他にも、サービスではこれまでの役割分担に変化が起きて、 企業が顧客のこれまでやってきたことを肩代わりすることもあれば、その逆もあり得る。また、ITはサービスの製造現場であり、 ITによってサービスを繰り返し可能なものにすることができるという指摘もある。
日本のサービスのレベルは世界でもピカ一なので、「お客様一番」 の上記のような教えは目新しくないかもしれない。だが、イノベーション好きのアメリカン・ビジネスのすごいところは、 こうした目に見えないものまで方法論化してしまうところ。サービス・イノベーションという新しい分野への注目も、 繰り返しや応用の効く原則を見つけ出し、それをより強化して商売にしようという企みがあるからで、 そのあたりに日本との取り組みの違いが見える。
有名なコンサルタント会社ドブリン・グループは、 イノベーションを4領域合計10のステップに分けている。プロセス(イノベーション・プロセス、コア・プロセス)、 販売(製品およびサービスの質、サービスのシステム、顧客サービス)、デリバリー/提供(チャネル、ブランド、 顧客エクスペリエンス)、財務(ビジネス・モデル、バリュー・ネットワーク)である。
おもしろいのは、モノの製造・販売とサービスとでは、 どこにイノベーションの重点を置くかが異なってくるという点だ。モノでは何と言っても製品およびサービスの質がダントツだったが、 サービスでは、コア・プロセス、顧客サービス、チャネル、顧客エクスペリエンス、ビジネス・モデル、バリュー・ ネットワークに重点が移る。もちろん、モノを扱う商売なら、モノのイノベーション・バランスを抑えながら、 サービスとの違いを理解することが重要になるわけだ。
上記のレポートでは、こうした分析方法を通じて、 成功を収めているレンタカー会社や銀行などのケーススタディを行っている。サービス・ ビジネスへ大きく舵を取るという変化によって注目されている企業が多い。
あらゆるモノがコモディティ化する中、 商売の勝敗を決めるのは顧客エクスペリエンスやサービスの質だと言われて久しいが、 それをシステマティックに理解するためのいろいろな方法論は、今後の心強いツールでもある。
ピア・インサイト社のサイト
同社が行ったレポート・ダウンロードのURL
http://www.tekes.fi/eng/publications/innovative_service.pdf





