2008.09.01iPhoneを大学の情報インフラに利用
アメリカでも若者に人気のアップルiPhone。実はアメリカの大学では、このiPhoneをはじめとして、 モバイル機器を授業やキャンパス生活の情報網として利用しようという試みが進んでいる。
アメリカ南部の有名な私立大学ヴァンダービルト大学では、 iPhoneに合わせたウェブサイトまで作ってしまった。iPhoneは、 これまでの携帯電話で使われていた簡略化されたブラウザーとは違って、アップル社製のブラウザー、 サファリをフルサイズで搭載している。これが小さな機器ながら、インターネットをしっかりと利用するのを可能にして、 どこにいてもまるで机上のように仕事ができ、情報にアクセスできると評判になっているのだ。
ヴァンダービルト大学は、 その小さなスクリーンに合わせてiPhoneのインターフェイス・デザインに似たウェブサイトを作り、大学のアドミニ・ サイトやウェブメールにここからジャンプできるようにしている。2クリックほど進むと通常のインターフェイスに戻ってしまうが、 iPhoneからでも見やすいデザインで学生の関心を引き、使い勝手を試しているわけだ。よく見ると、 この大学はYouTubeや、授業をアップロードするiTunes Uも利用しているようで、新しいテクノロジーに関しては、 前向きに取り組んでいる大学であることがうかがわれる。
学生にiPhoneを配る大学もある。テキサス州の私立大学アバリーン・クリスチャン大学では、 以前からキャンパスでのモバイル機器の利用とその効果を研究してきたが、 現在は300人の新入生を対象にiPhoneを配っている。先生からのテキスト・メッセージを受け取ったり、 キャンパスの地図をナビゲートしたり、講義のポッドキャストを聞いたり、 授業に関するフォーラムに参加したりできるようになっている。キャンパスの無線ネットワークを使うため、 インターネットへのアクセスは無料だが、通信契約は学生自身が行うことになっているという。
その他にも、メリーランド大学、オクラホマ・クリスチャン大学など、 全米でも数校がiPhoneを無料で提供。 アップル社もこうした試みのためにディスカウント価格でiPhoneを提供していると見られるが、詳細は明らかではない。 使い勝手やどんなアプリケーションが役に立ったか、また携帯機器を用いたどんな研究や調査が有効かといった意見を、 大学では学生のフィードバックから引き出そうとしているという。
またスタンフォード大学では、学生が経営する会社にiPhoneのためのキャンパス地図やディレクトリーのデザインを任せている。 たとえ大学が配らなくともiPhoneを持つ学生の比率がすでに高いため、このインフラをどう利用するのが有効なのか、 大学では知恵を絞っているというところだ。
新入生を中心にiPhoneを配る理由は、基礎講義など大人数の授業に参加するため、 その効果がわかりやすいこと、そして生活のほとんどをキャンパス内で過ごすことが多いからだという。データとしては、 もっとも効率的なサンプルだというわけだ。もちろん、 大学へ関心を持ってもらうためのアピールとして使われていることは間違いない。
先進国だけでなく、途上国の教育でもモバイル機器は注目されている。ビル・ ゲイツはかつて「コンピュータのラップトップよりもモバイル機器の方が途上国の教育には効果的だ」と語ったことがある。 価格が安いので広く普及させることができ、教育のインパクトがすぐさま現れるからだ。
だが、いいことばかりではない。 これまでも携帯電話やコンピュータを授業に持ち込む学生が、 インターネットやメールに気を取られて授業に集中しないという問題は多かった。iPhoneのようなおもしろいアプリケーション満載の機器の登場で、 学生が講義に耳を傾ける率はずっと低くなるのではないかという危惧は大きい。大学はますます知恵を絞って、 便利さとアカデミア環境のうまい合意点を探らなければならないのである。
■ヴァンダービルト大学のiPhone用インターフェイス
http://www.vanderbilt.edu/iphone/
■アバリーン・ クリスチャン大学のモバイル機器研究ページ
http://www.acu.edu/technology/mobilelearning/index.html




