2009.01.05名前は目隠し。ホテル予約サイトの「信頼感」の重要性
経済不況の中で大きな打撃を受けているのは、旅行産業である。 飛行機の乗客は減り、クリスマスや年末に予定されていたホテルでの大宴会はキャンセルになり、ホテルにも空室が目立っている。 今やラグジュアリー・ホテルまで「2泊すれば3泊目は無料」といった類いのセールに乗り出しているようである。
ホテル側には申し訳ないが、こういう時期になると得をするのが旅行者だ。 ことにニューヨークのホテルは、911のテロ直後に宿泊料が一気に下がり、しばらくは訪ねやすい場所になっていたが、 その後はうなぎ上りだった。2001年暮と2008年夏を比べると、ホテルの宿泊料は軽く2?3倍には跳ね上がっていただろう。
そうした中で、便利な旅行サイトがあった。「ホットワイアード」と呼ばれるサイトである。
ホットワイアードは、 売れ残った航空券やホテルの空室を売りさばくクリアリングハウスのようなサイトで、私は出張の際に使うことがよくある。 他にもホテル予約ができる旅行サイトがいろいろある中で、なぜホットワイアードを使うか。その理由は、「お得な」 ディールに巡り会うことが多いからである。
たとえば、数ヶ月前ニューヨークに出かけたとき。急な出張だったので、 ホテルをいろいろ探して吟味する時間がない。そこでホットワイアードにアクセスした。ホットワイアードの特徴は、 名指しでホテルを選ぶことはできないことだ。いつからいつまで「何泊」で、だいたいマンハッタンの「この地域」、そして「星の数」 がいくつ以上のホテルという条件だけで検索するのだ。
すると1泊あたりの料金とホテルの設備(スポーツクラブの有無、 レストランの有無など)を記したリストが出てくる。そこからお財布事情と条件を照らし合わせて泊まりたいホテルを決定し、 クレジットカードで前払いしてクリックすると、予約完了の確認とともにやっとホテルの名前が出てくるというしくみだ。
ホテルの名前も知らずに前払い、 しかも返金不可の予約をするのは無謀と思われるかもしれない。だが、ホットワイアードで何度か予約を体験した結果、 このサイトが言うホテルの星の数と、実際に宿泊したホテルのグレードがちゃんとマッチしているのがわかったのだ。 この信頼感はかなり大切なものである。
アメリカには、実にいろいろな旅行予約サイトがある。「エクスペディア」、「トラベロシティー」というのが二大サイトで、 いずれもホテル名、料金などが銘記されているタイプ。さらにこれら旅行予約サイトをアグリゲートして、 価格比較ができる「カヤック」というすごいサイトもある。
だが、いずれも確かにはっきりしていていいが、リストが長々と続き、 見ている間に迷ってしまい時間がかかるのが難点。また最近は、 ホテル自身のサイトがそうした旅行予約サイトに競合するオンライン宿泊料を設け始めて、魅力が薄まってきた。
あるいは、ホットワイアードに似ているが「オークション形式」 のホテル予約というのも一時注目されたことがある。条件と星の数、そして自分が出したい値段を入力、 クレジットカードで支払いを済ませた後に、ホテル名がわかるというもの。「プライスライン」というサイトがその一例で、 今でも一部にこのオークション形式を残しているが、これは言い値と星の数、 オークションの状況によってずいぶんがっかりする結果となることが多かった。「こんなホテルを三ツ星と呼ぶな」 「条件に添ったホテルがないのならば、却下してくれた方がいい」と思ったほどだ。
その点、ホットワイアードの堅実さには感心するものがある。 現在のように不景気で空室が多くなると、ホットワイアードのようなサイトにはお得なディールがたくさん集まるし、 またぎりぎりで予約するような場合には、いい部屋が投げ売りされていたりすることも多い。
アメリカは、航空券もホテルの宿泊料もその時々の需要に応じて変動するので、 状況によっては「いつもの気に入りのホテル」も目を剥くような値段になっていることがある。 そんなときにホットワイアードのようなサービスは実にありがたいのだ。
オンラインで広い選択肢を一手にできるのは嬉しいものの、 最近は時間や煩雑な手続きがカットできて、満足のいく結果にすぐ辿り着ける方がずっといいサービスなのではないかと思い始めている。 そんなときに重要なのは、まさに信頼感なのである。




