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2009.10.02「ステートフル」というシームレス体験

最近、さまざまなデジタル・デバイスやサービスの話を聞いていて、共通しておもしろいなあと思うことがある。「ステートフル」という機能のことだ。

「ステートフル」というのは、あるデバイスで見ていたドキュメントや情報データのその箇所を、別のデバイスで回帰、呼び出しすることができるというもの。ドキュメントやデータがインターネット上にあれば、ユーザーの最後のアクションを覚えていて、今度別のデバイスでアクセスした時に、それをシンクロしてくれるのだ。

例を挙げよう。

たとえば、アメリカでは今、電子書籍リーダーのアマゾン「キンドル」の人気がますます高くなっている。ソニーも同様の製品を発売しているので、電子書籍リーダーをご存知の方も多いと思うが、つまりは本屋に行く必要もなく、物理的な紙の本を買うこともなく、読みたい本が手に入るデバイスである。もちろん手に入れた本を読むというのが、本来のキンドルの機能だ。

キンドル用のフォーマットされた電子書籍は、アマゾンのサイトから買うことができるが、アマゾンは現在、アップルのiPhone用にもキンドル・アプリケーションを発表している。こちらはキンドルがなくても、iPhoneで本を読もうという人のためのものだ。

だが、もしキンドルとiPhoneを両方持っているユーザーが、家ではキンドルを利用し、出かける時にはiPhoneに切り替えたいとしよう。すると、キンドル・アプリケーションは、出先でiPhoneのキンドル書籍を呼び出した際に、家で読んでいた箇所を探し当てて、そのページをちゃんと開いてくれるのである。キンドル用に用いられている通信機能がなせる技。家と出先、キンドルとiPhoneの間で、まさにシームレスに読書体験ができるというわけだ。

あるいは、イギリスの放送局BBCは、インターネットやデジタル・デバイスでテレビやラジオ番組を視聴できる特別サイト、BBCiプレーヤーを設置している。英国外では見たり聴いたりができないので確認できないのだが、以前この開発者がプレゼンテーションしていたのも、ステートフル機能だった。

つまりこういうことである。家のデスクトップでテレビ番組を見始めたとしよう。だが、出かける時間になってしまった。だが、携帯電話を持って出る。そうするとドラマの続きがそのまま携帯で見られるというわけである。めんどうなクリックや、先送り、巻き戻しの手間をかけず、こうしたことをデバイスとインターネット側がやってくれるとは、ありがたいではないか。

今後、われわれがさまざまなデバイスを使い分け、しかも多種多様なコンテンツにアクセスするようになると、こうしたきめ細やかな機能が大きな意味を持ってくる。現在もユーザーのコンピュータ内のクッキーが、どんなサイトを訪れたとか、どんな商品を閲覧したといったようなデータを残すが、そうしたデータ取得型アプローチではなく、ユーザー側の便宜優先型アプローチというか、その方が嬉しい。

このステートフルというのは、コンテンツがクラウド化されることでさらに促進されるはずだ。電子書籍もデバイス側にダウンロードするのではなく、インターネットに接続して読むとか、テレビ番組やビデオ、映画も、移動しながらストリーミングで見る。あるいは、ソーシャルネットワーク・サイトの書き込みなども、途中まですませて出先で続けるといったことが、シームレスにできるようになる。

ひょっとするとコンテンツだけではなく、ウェブサイトの閲覧にも応用できるだろう。家のコンピュータで読んでいた長いニュース記事の続きを、出先でちょっと時間があった際に携帯で読了するとか。

今はデスクトップとモバイルは別々のものだが、これがひと続きになればわれわれのコンテンツ体験はかなり違ったものになるはずである。