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2010.07.07盛んになった電子書籍にまつわる周辺ビジネス

電子書籍がアメリカで本格的に盛り上がっているが、興味深いのは電子書籍販売にまつわる周辺のビジネスやツールである。

電子書籍は今、誰がどのようにどのプラットフォームで売るのか、どこから買うのかが大きな競争になっている。たとえば、アマゾンのキンドルの書籍にするか、アップルのiPadにするか、あるいはソニーにするか。またはスマートフォンの小さな画面で読むか。

そんなデバイスやプラットフォーム戦争に加えて、現在は電子書籍をうまく売るためのさまざまな周辺ツールが芽を息吹きだしている。その中には、ソーシャル出版、ソーシャル読書などの動き、そして中身を立ち読みできる機能、電子書籍の存在をいろいろなところで知らしめるウィジェットの開発などが含まれる。

まず、ソーシャル出版。聞き慣れないことばだが、これまで出版社だけの手に握られてきた出版を、万人にも開かれた機会にしましょうというのが、ソーシャル出版である。

アメリカにはたとえば「Scribd(スクリブド)」というサイトがある。ここには誰がどんな出版物をアップロードしてもいいことになっている。弱小出版社の雑誌や機関誌などもあるが、製品カタログもあれば、大学の講義のメモや企業のプレゼンテーションもある。ともかく何でもありの状態だ。

本でもないのに、こんなものを誰が読むかと考えてはならない。「へぇ〜、こんなものがあるんだ」と興味を惹かれるものがたくさんあるのに、驚くだろう。ともかく「読む」ことが好きな人、「文字中毒」の人向けのサイトだとされるのだが、普通の人が見てもけっこう社会勉強にもなるのだ。

現在このサイトには、大手出版社も書籍をアップロードし、読者の関心をそそろうとしている。いわば、マーケティング・ツールにもなっているのである。

ソーシャル読書は、読書の体験をみんなで共有しましょうというサイトである。「bookwormr(ブックワームー)」や「weRead(ウィーリード)」というサイトがあって、どちらも読んだ本の感想などをアップロードして、他の読者とシェアするもの。本のレビューを探しているのならば、こうしたサイトで目的の本を検索してみれば、いろいろな人のレビューが見つかるはずである。

ブックレビューは、これまでもアマゾンなどのオンライン書店にもあったものだが、こうした機能がどんどん独立して新しい機能も付加され、さらに深くなってきているということだろう。本を買うためだけでなく、純粋に同じような本を読む仲間を探したい、その本に対する意見を交わしたいという人々が多いということだ。

本を読む行為は、「これまでもソーシャルなものだった」ということばを、ある出版関係者から聞いたことがある。アメリカには昔からブック・クラブというものがあって、本好きの人が加入し、そのクラブのお勧めの本を毎月購入するというしくみになっている。その他にも読書会も盛んだ。それをインターネットに移したのが、こうしたソーシャル読書サイトだろう。

また、電子書籍を売るサイトでは、中身立ち読みやウィジェットの提供がどんどん盛んになっている。ウィジェットは、その本の情報や中身立ち読み機能をフェイスブックなどのページに貼付けることができるもの。お気に入りの本があれば、「ほら、これを見てみて」と友達にも勧めることができるものだ。

あれこれあるこうした機能は、電子書籍がますます充実してきたことによる。これからの時代、電子書籍やドキュメントの数は増えるばかり。その中でどうやってその本の存在をディスカバー(発見)してもらうのか、業界用語で言うところの「ディスカバラビリティー(発見される度合い)」をどう高めるのかが、本の売れ行きや評判のためにますます重要になっているのだ。

本屋だけでなく、これからわれわれが本を目にする場所は、どんどん広がってきたということである。そして、売るための手法にますます微に入り細に入りの注力がなければ、成り立たなくなっているということでもあるのだ。