2010.08.04ソーシャル・ショッピングとは何?
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の広がりで、最近は「ソーシャル・ショッピング」が注目を集めている。
ソーシャル・ショッピングの定義はいろいろあるが、ひとつは友達や知人とグループをつくって、その集団購買力を利用してモノやサービスを安く買おうというものだ。この分野で今、人気になっているのがグルーポンというサービスである。
グルーポンのサイトをまずは覗いてみるとしよう。
サイトにアクセスすると、自分が住んでいる都市、何に関心があるか(レストラン、美容院やスパ、イベントやツアー、その他の活動やクラス)を選ぶようになっている。複数選んでもかまわない。メールアドレスを登録すると、さっそく私が住んでいるサンフランシスコ地域の地元サイトに切り替わる。
本日のグルーポンお得情報は、2週間の集中フィットネス・コース(定価160ドル)を40ドルで購入できるというもの。75%の割引である。ただし、この割引は指定の人数が集まらなければ実施されない。このフィットネス・クラブが指定したのは75人。75人が申し込めば割引成立で、グルーポンで申し込んだ人がお得な思いをするというしくみである。
グルーポンでの割引告知はたいてい24時間掲示されるのだが、この集中フィットネス・コースには残り時間6時間半の時点で、何とすでに321人もの申し込みがある。グルーポン・サイトには「割引成立!」の文字が嬉しそうに踊っている。
割引が成立すると、告知終了後にグルーポンから申込者宛にクーポンが送られてくるので、それをプリント・アウトして店に向かうという流れだ。申し込んだ時点で、クレジットカード番号を入力し、料金は割引成立時に課金される。
お金にシビアなアメリカ人は、昔からクーポンが大好きである。スーパーで買い物をしていても、新聞広告の切り抜きのクーポンを持参してレジのところで割引をしてもらっている客をよく見かける。不況になってからは「クーポン専門家」のような主婦たちも登場し、どうやってクーポンを上手に使って家計の足しにするかという議論を自分たちのウェブサイトに載せていた。
ところが、そうしたクーポンは店側にとっては必ずしもお得なことではなかった。まず、費用をかけてクーポン付きの広告を出しても消費者の目に留まらないことも多い。それにクーポンを使ってもらったからといって、店側にとっては割引をしただけで大きな売り上げにつながることもなく、その客がまた戻ってきてくれるかどうかも不明だ。
これに対して、グルーポンではあらかじめ割引が成立する人数を指定できるので、店が損をしないよう計算してから告知することができる。このフィットネス・クラブのように想定を大幅に超えた人数が集まった場合なら、笑いが止まらないくらいだろう。
グルーポンでは、この他にレストランでの割引、手作りチョコレートの割引など、なかなかに魅力的な割引がそろっている。財布の紐が堅くなっている消費者も、「こんなに安くなっているのなら、買ってみようか」と思いそうなものばかりなのだ。
グルーポン以外にも、ソーシャル・ショッピング的なものはある。
たとえば、フォースクエアというサービスは、近所の店やカフェなどに行ったことを報告するというもの。ある店での報告数が増えると、そこの「市長」のようなポジションが与えられる。そうした市長に割引サービスをしてくれる店もある。
また、ブリッピーというサイトは、他人がどんな買い物をしたのかが刻々とリアルタイムでわかるサイトだ。クレジットカードやメンバーカードを登録し、それが使われるたびに何を買っていくら払ったのかが、サイト上で報告される。そんなことをいったいなぜ世界に向かって知らせたくなるのかと不思議にも感じるが、SNSの時代では、自分が積極的に参加して仲間意識を盛り上げること自体が興味の対象なのかもしれない。
これまでもショッピング・サイトに、「この商品を買った人は、こんなものも購入しました」といったレコメンデーションが表示されていたが、現在のソーシャル・ショッピングではもっとダイナミックなしくみが求められているようだ。
いずれにしても、こうしたサイトが示唆するのは、ショッピングという行為自体が1人でするものでなくなったこと、「激安のお得感+楽しい+ゲーム性」といった要素がショッピングになくてはならないものになっているということなのだろう。





