2008.11.04新しい放送局のかたちをかいま見せる「BBC iPlayer」
最近の若者は携帯電話を常用するので、 固定線の電話を必要としないといわれるが、アメリカでは今やテレビも不要だという。 ますますインターネットに費やす時間が増えてテレビを見なくなったこともその理由だが、 インターネットに上がるライブ放送や番組録画が増えているからだ。
そうした中でも、業界の注目を集めているのが、 イギリスの国営放送BBCの取り組みである。
「BBC iPlayer」というサイトがあるので、ぜひご覧いただきたい。 http://www.bbc.co.uk/iplayer/
とはいえ、残念なことにイギリス国外ではホームページを見られても、 放映権の制限によりそこで番組をクリックしてもストリーミングできない。だが、 ずらりと並んだ豊富な番組の品揃えに驚かされることだろう。
BBC iPlayerは、 BBCの関連テレビ局およびラジオ局の過去7日間の番組をほぼすべてサイトに上げ、 インターネット経由で見られるようにしたものである。ウィンドウズやマックはもちろんのこと、リナックス、任天堂のWii、 そしてiPhoneでもアクセスとプレイが可能だ。
通常テレビ局のサイトに行くと、 ゴチャゴチャとしたレイアウトにおすすめの番組の宣伝などが載っていてどうにも見にくいものだが、BBC iPalyerは近未来の放送局とはかくありなんと思わせるようなすっきりとしたレイアウトで全番組が概覧できるのが特徴だ。 つまり、これはBBCのホームページではなくて、BBC iPlayerという放送サイト。 このふたつをはっきり分けたところに、まずは先見の明が見られるというところだ。
番組は、放送局、放送日、ハイライト、人気、 カテゴリーなどのいくつもの方法でうまく分類され、アクセスしやすい入り口が設けられている。ストリーミングで見ることになるが、 ダウンロード・マネージャーをハードディスクに入れておくと、番組をダウンロードしてその後30日間はいつでも見られるしくみもある。
そればかりか、途中まで見た番組は、 再開するとちゃんとその時点から以降が再生されるとか、過去に再生した番組を記録しているとか、検索機能、 番組情報をアップデートしてくれるRSS機能なども搭載されている。
先だって、マイクロソフトのプログラマーを対象にした開発会議に行ったのだが、 そこでデモされたBBC iPlayerの開発中の新技術もすごかった。それは、 コンピュータで途中まで見ていた番組を、 出かける際にはiPhoneなどの携帯機器でその途中の時点から後の残りの部分だけを見られるというもの。
これはコンピュータや携帯機器とのシンクロ機能をサポートするマクロソフトの新しい開発プラットフォーム 「アジュール」を用いたものだが、コンテンツのシンクロだけでなく、 どこまで再生したかといったメタデータの情報をシンクロしてくれるだけで、 われわれの生活が実にモバイルにシームレスになるのだなあと実感したデモだった。SNS(ソーシャルネットワークサイト)のようなしくみも盛り込んで、 友達が見た番組などがわかってそれがお勧め機能としても働くようになるらしい。
それにしても、放送や新聞などのメディアは現在、 インターネット時代の新しいかたちを求めて四苦八苦している状態だ。コンテンツをどうやって上げるのか、 サイトをどのようにレイアウトするのか、そうしたことに力が集中してしまっているが、今や人々がどのように行動し、 その中でテレビを見る時間がどう位置づけされるのかといった視点からのアプローチはけっこう重要だ。 日本の携帯でテレビを見るワンセグも同じだが、何といってもわれわれの生活はどんどん変化しているのだから。




