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2009.12.01レストラン予約サイト、オープンテーブルのうまいしくみ

この不況のさなかにIPO(新規株公開)の手続きに入った会社がある。オープンテーブルというレストラン予約サイトである。レストラン・ビジネスは、消費者の財布の紐がかたくなって苦戦を強いられているが、オープンテーブルは創設時から着々と業績を積み、不景気もどこ吹く風と、こんな経済下での勇断に踏み切った。

オープンテーブルのしくみはこうだ。

来週末に外食をしたいとしよう。場所はサンフランシスコ。時間は午後7時。一緒に食べるのは4人だ。まずはその条件で、オープンテーブルのサンフランシスコ・サイトに入力する。そうすると、その時間に空席のあるレストランの一覧が一瞬のうちに出てくる。イタリア料理、フランス料理などの料理の種類、場所はどのあたり、そしてドル・マークで記したお値段の目安なども一緒に示されるので、それを参考にして、気に入ったところがあれば、クリックするだけでOK。予約がこれで完了するという具合だ。

これまでならば、行きたいレストランにいちいち電話をして、満席だと断られると、また別のレストランにかけ直すといったような手間がかかった。だが、オープンテーブルならば、「ここがだめなら、あちらがある」という空席状況が一目瞭然にわかって、レストランの予約に無駄な時間を使わなくて済むのである。

実際、私自身はいつもオープンテーブルを利用しているし、友人にも使っている人が多い。知人が幹事をしてくれるような集まりならば、レストランの予約情報が参加者全員にメールで送られてくる。そこには、住所や電話番号、地図へのリンクなども一緒になっていて、このメールはメモ代わりに重宝するのだ。

入力条件をもっと複雑にすることもできる。サンフランシスコのどのあたりの地区でカリフォルニア料理を食べたいといった入力をすると、その条件に合ったレストランがちゃんと出てくる。キャンセルするのもクリックひとつ。ヒューマンなタッチが欠けていると言えば確かにそうだが、サンフランシスコのように日々新しいレストランができては消え、それでもまだまだ無数にあるようなところでは大変便利なのである。

実は、オープンテーブルのビジネス・モデルはけっこう古風なものだ。われわれユーザー側は無料でオンライン予約をするのだが、バックエンドではオープンテーブルがレストランの座席をダイヤグラム化したソフトを開発し、これをタッチスクリーン付きのハードウェアに組み込んで、予約ソフトとセットでレストランに納入する。

キッチンに新しいオーブンを納入するのと同じような商売のしくみだが、そうでないのがITのなせるわざだ。オンラインの予約は自動的に席を埋めていき、客のデータベースも自動的に構築されて今後のマーケティングに流用できる。レストラン側にとっても効率的に予約作業を済ませられる。レストランは、この管理ツールのために1ヶ月あたり数100ドルの契約料をオープンテーブルに支払っている。

おもしろいのは、ユーザーの意識である。最初このサービスが登場した2000年頃、いろいろなことをオンラインで済ませていても、レストランの予約をインターネットでやることには抵抗があった。相手に失礼な感じがするし、そこまで味気ないことをやりたくなかったからだ。オープンテーブルも、IT好きの人々には人気だったが、今のように広範なユーザーをものにするまでにはちょっと時間がかかった。

だが、今やそうした抵抗はまったくなくなった。まずは登録レストランの数が臨界を超え、使うことに現実味が出てきたこと。それに何においてもインターネットの予約が普通になったからだ。レストランに予約の電話をするのは多少緊張するものだが、その重苦しさがないのもいい。

もうひとつは、レストランへのこだわりも変わった。評判のところへ行きたかったけれど、満席。でも他にもおもしろそうなところがたくさんある。ひとつのレストランにこだわるのも手だが、新しいところをトライするのも冒険。オープンテーブルは、明らかに後者の見方である。われわれは移り気に、クリックひとつでレストランを乗り換えるのである。

ただし、欠点もある。もしあまり町の様子を知らない場合、そのレストランがいったいどの程度の店なのかを把握する手段がないのだ。「よく予約された店」とか「食事の評価の高い店」といったようなユーザー投票による表示はあるが、何せどのレストランもオープンテーブルの顧客。だから表立ったランキングはない。それにユーザーが若者なのか、多少はお金のある中年なのかによって評価も異なるだろう。

だから、空きテーブル状況と基本的なレストランの情報はオープンテーブルで確認するものの、気の張るディナーの予約などでは方々のサイトをチェックして縦横に情報を固めた上で予約を入れることになる。そのあたりは、一長一短といったところ。

それに当然のことだが、契約料を払っているレストラン側の方が客に対する情報をたくさん握っている。この客は以前いくらくらいの食事をしたとか、キャンセルばかりする客だとか。クレジットカードや住所、電話番号に加えて、こんな付随情報もレストランの手に握られているのだ。

いわば、情報提供にアンバランスがあるわけだが、そんなことをみじんも感じさせないところが、うまいと言えよう。ユーザーのわれわれは便利さにほだされて、やっぱりオープンテーブルを利用するのである。


■オープンテーブル
www.opentable.com